ミュラー・リヤー錯視における錯視の要因 目的と方法
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ミュラー・リヤー錯視における錯視の要因レポートです。
実験の「ミュラー・リヤー錯視における錯視の要因 目的と方法」の部分です。
目的
我々は常に主観的に事象を観察して生活しているため、客観的事実とは異なる様々な誤認識をすることが多い。中でも視覚に関した誤認識を錯視と呼ぶが、錯視の量、つまり誤認識の大きさはどのような要因で変化するのだろうか。
この錯視の要因について調べたのが、本論の研究である。実験では、有名なミュラー・リヤー錯視を使った。ミュラー・リヤー錯視とは、主線の両側に二本の矢羽根が付いた図形の主線の長さが、本来の長さより短く知覚されたり、長く知覚される錯視だ。この幾何学図形の錯視は、矢羽根の長さや角度の変化が容易なため、錯視量の測定に適していると言える。そこで本論では、矢羽根を変化させるミュラー・リヤー錯視の実験から、知覚判断の法則性を検討した。
従属変数は錯視量(比較刺激の主線の長さから標準刺激の主線の長さを引いた値)とした。錯視量がプラスならば、比較刺激の方が標準刺激より大きく、錯視量がマイナスならば、標準刺激が比較刺激より大きいことになる。他方で独立変数は、矢羽根の長さと角度と、調整法の上昇・下降系列だ。系列については「方法」の部分で詳しく解説する。
まとめると、この研究は矢羽の長さと角度と位置を変え、それによる錯視量を分析し、錯視の量を左右する要因を調べたものだ。仮説として、先行研究の「角度が大きくなると錯視量が増大すること、長さで錯視量は変化しないこと」(2010 永井)という結果を想定する。
方法
・被験者
被験者は、北海学園大学の「心理学研究法」受講生である。男性が49名、女性が23名の合計72名で、平均年齢は約22.97歳であった。視力に関して問題のある者は確認されていない。
・刺激
実験は前述の通り、ミュラー・リヤー錯視図形を用いた。刺激条件は矢羽根の長さが(30、60、90 ピクセル)の3条件。角度が(15°、30°、60°)3条件で、長さと角度の組み合わせが合計9 条件ある。これをパソコン画面で確認し、操作した。
実験は参加者が水方PCを操作して行った。錯視図の主線が標準刺激の主線に見えると思った部分を記録する「調整法」という方法で行った。これには系列が二つある。明らかに主線が短い位置から矢羽根を動かし調節する上昇系列(ascending series以下A)と、明らかに主線が長い位置から矢羽根を動かし調節する下降系列(descending series,以下D)である。
全ての被験者が全ての組み合わせの操作をした。9条件でA、Dの2系列、それをさらに4回繰り返した(表示の順番はランダム)ため、全72回であった。
・手続き
被験者には、錯視の実験であることや、ミュラー・リヤー錯視、調整法などの解説をした上で、主観的に操作を行うように注意して実験を行った。
被験者がパソコン上で使った錯視測定プログラムは、比較刺激を伸ばす場合は、↑キーを押すかマウスのホイールを上向きに1回転させ、縮める場合は↓キーを押すかホイールを下向きに1 回転させるというものだ。終了したらスペースキーか画面をダブルクリックすることで、錯視量が自動計算される仕組みになっていた。
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