大きさの恒常性のレポート例 正立視と倒立視の比較の、結果と考察 | 社会や芸能人のニュースと噂を優しく語る

大きさの恒常性のレポート例 正立視と倒立視の比較の、結果と考察

Sponsord Link

「大きさの恒常性のレポート例 正立視と倒立視の比較の、結果と考察」です。



心理士




視覚的注意実験レポートの目的の例 色と形と大きさは?


大学のレポートの一部です。

結果

本実験で得ることが出来た26件の有効なデータを分析した。

まず、正立条件と倒立条件の比較を行うため、本実験から得られた主観的等価値のデータ(図1)をt検定によって分析したところ、有意差は見られなかった。(t(50)=1.07,ns)
そこで、正立条件の上昇系列と、下降系列、倒立条件の上昇系列と、下降系列をそれぞれ分けてt検定にかけた。すると、正立条件の下降系列と、倒立条件の上昇系列に有意差があった。(t(50)=3.13,P<0.01)
しかし、それ以外には、正立条件と倒立条件においては、有意差がみられなかった。
続いて、上昇系列と下降系列の比較を行うため、本実験で得られた主観的等価値のテータ(図2)のt検定を行ったところ、有意差が見られた。(t(50)=2.79,P<0.01)
また、それぞれのパターンごとにもt検定を行ったところ、正立条件の上昇系列と下降系列にも有意差が見られ((t(50)=2.04,P<0.05))、倒立条件の上昇系列と下降系列にも有意差が見られた((t(50)=2.96,P<0.01))。

考察

大きさの恒常性が起きるのは、ミュラー・リヤー錯視が起きる理由と同様であり、人間の遠近感覚のためである。ミュラー・リヤー錯視の図形は非常にシンプルであるが、外向図形は、遠くにある物体を見た場合の部屋や道路の線の見え方に似ており内向図形は、近くにある物体を見た場合の見え方に似ている。したがって、我々は外向図形を遠くにあるように感じ、内向図形がより近くにあるように感じるため、遠くにあるにも関わらず内向図形と同等のサイズを保っている外向図形の方が、より大きく感じてしまうのだ。
すなわち、これは人間が単一の刺激に対して反応しているのではなく、知覚情報全体を総合的に認識して判断している事実を物語っている。

さて、今回の実験も、この認識の性質によって引き起こされる大きさの恒常性を調べるものであった。
プリズムによって倒立視の世界を見せると、通常の遠近感覚はなくなり恒常性が狂う、という仮説に基づいて実験を実施したのだ。
しかし、結果はその仮説を裏付けるものにはならなかった。
たしかに、主観的等価値の数値を比較すると、正立視の方が高いものの、統計学的に有意な差だとは言えなかった。正立条件の下降系列と、倒立条件の上昇系列に有意差があったが、他の場合にはなかった上に、交互作用もないという結果だった。
なぜ、このような結果になったのだろうか。
まず考えられるのは、半知手続き性である。これは、この実験方法の刺激の変化が実験参加者にとって明らかであるために、意図的な修正の余地があり、正確な主観的等価値の測定にならないというものだ。
特に今回は、行動科学実験実習の講義受講者であるので、倒立と正立で差が出やすいことは理解していた可能性が高く、素直な回答にはならなかったと考えられる。それは、意識的にバイアスをかけようとしたという意味ではなく、むしろ意識的にバイアスをかけまいとしたことが、結果的にバイアスになってしまったのかも知れないのである。
続いて、今回は系列の出発点が一定であった。これも、有意差が出ない結果に繋がった可能性がある。すなわち、何回目に何と回答したかを覚えることができる形式であった事実も、失敗の要因として挙げられるのだ。今回の方法では、正立と倒立に一貫性をもたせようとする意識が働いた場合に、それが可能であった。ほぼ同じ手続きが何度も繰り返されるので、回答もパターン化してしまったかも知れないのだ。
さらに、そもそも正立条件で恒常性が起きにくかったり、倒立条件で恒常性が崩れなかったりしたということもあり得る。なぜなら、実験装置は普段日常において決して目撃しえない物体であるので、無意識的に大きさを推定するということが、起きにくかっただろう。また、室内の環境的にも遠近感が強調される実験室ではなかったので、、正立条件で遠近感のせいで恒常性が起きるという程度が、想定よりは少なかったと考えられ得る。
 ともあれ、正立条件の下降系列と、倒立条件の上昇系列に有意差があったことからも、実験の仮説が完全に否定されたわけではなく、方法の改善によっては仮説通りになったことであろう。

次に、上昇系列と下降系列について考察する。今回は上昇系列と下降系列に1%水準での有意差が見られた。正立条件でも倒立条件でも、主観的等価値が、上昇の場合は低く、下降の場合は高い。これは、なぜだろうか。
まず、どちらも同じくらいの回数で答えたという可能性が考えられる。上昇系列の平均値は60.74であり、下降系列の平均値は64.31であるが、これはどちらも4回目程度で回答をストップさせたということを意味している。具体的にいうと、40mmから4回実験刺激を動かすと60mmになるし、85mmから4回実験刺激を動かすと、65mmになるのだが、平均値はこれらの値に極めて近い。つまり、前述の正立条件と倒立条件に差が出なかった考察にも書いたように、意識的にしろ無意識的にしろ、実験参加者は何回回答したかを覚えることができ、それらを上昇でも下降でも一貫させられたのである。
また、4回という回数はやや控えめに答えていることを示しており、実験に厳密性をもたせようとし、極端な回答をしないようにしたとも考えられる。
これは、実験参加者が実験考察者にもなるという講義内実験の性質上、実験に参加している間から主観的になりきることができずに、客観的に答えようとしたからこそ、主観的認知が反映される恒常性が生まれにくかったという可能性とも矛盾しない。

これらの考察から導き出される今後の改善策は、なんだろうか。
まず、実験参加者にどれくらい実験刺激が変化したのかを悟られなくする必要はありそうだ。半知手続きの問題にもなるし、回数のカウントの問題にも繋がる。
スタート位置をランダムにしたり、一回ごとに実験刺激を隠したりする方法をとれば、実験参加者はより素直に主観的な回答をするだろう。
また、日常的に目にしやすい物体を実験刺激としてを用意し、室内の遠近感が増しやすい工夫を施しておけば、正立条件での大きさの恒常性の傾向は強く現れるのではないだろうか。その結果として、倒立条件との差が広がるはずだ。
そして、できるならば実験参加者は実験の趣旨を知らないほうが良いだろう。客観的であろうという意識の存在は、認知の主観性を検証するの実験をする上では好ましくないからだ。

今回は、部分的にした仮説が裏付けられない結果となったが、これらの改善を行うことで、大きさの恒常性の検証は十分に可能だろう。
こうして実験精度を高め、認知現象を解明していくことが、今後の課題となるだろう。


Sponsord Link

こちらの記事もどうぞ

この記事へのコメント

社会や芸能人のニュースと噂を優しく語る TOP » 未分類 » 大きさの恒常性のレポート例 正立視と倒立視の比較の、結果と考察