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視覚的注意実験レポートの考察の例

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行動科学の視覚的注意の考察です。



心理士



大学のレポートです。一部の方のお役にたてばと思います。

視覚的注意実験レポートの目的の例 色と形と大きさは?



考 察

 では、ここで今回の実験の結果で明らかになった点をまとめる。
 反応時間に関しては、ターゲット図形が「|」の条件では、提示項目数が増えるほどに反応時間が遅延すること、ターゲット図形が「\」の条件では刺激数が6以上の時に反応が遅延すること、そしてターゲット図形が「|」の条件とターゲット図形が「\」の条件を比較すると、ターゲット図形が「|」の図形の反応が遅延することが判明した。

 エラー数に関しては、複雑な結果であった。
 主効果については、ターゲット図形が「|」であっても「\」であってもエラー数に差がないこと、提示項目数によって、エラー数が異なり、提示項目数6よりも12の方がエラー数が多く、提示項目数1と6、1と12はエラー数が変わらないこと、ターゲット図形がある時の方が、ない時よりもエラー数が多いということが分かった。
交互作用については、ターゲット図形が「\」の時,提示項目数によってエラーが異なり、提示項目数が1の時が最もエラー数が多く、提示項目数1と12、6と12のエラー数に差はないこと、ターゲット図形が「|」の時は、提示項目数によってエラーが増え、提示項目数1と6はエラー数が変わらず、12の時は1や6の時よりもエラー数が増えること、ターゲット「あり」の時は,ターゲット図形が「|」の方がエラーが多く、ターゲット「なし」の時は,ターゲット図形による差はないこと、ターゲット図形が「\」の時も「|」の時も,「あり」の方がエラーが多いこと、ターゲットが「あり」の時も「なし」の時も,提示項目数によってエラー数は変わり、ありの場合は提示項目数が1と6の時はエラー数が変わらないが、12の時はエラー数が増加し、「なし」の場合は提示項目数が1の時のエラー数がもっとも多く、提示項目数6と12のエラー数は変わらないこと、項目提示数1の時,ターゲットの有無は関係なく、提示項目数が6と12の時は「あり」の方がエラー数が多いことが分かった。
 3要因の交互作用については、ターゲット「あり」の時のターゲット図形条件と提示項目数と、ターゲット「なし」の時のターゲット図形条件と提示項目数と、ターゲットが「|」の時の,提示項目数とターゲットの有無と、提示項目数が6の時の,ターゲット図形条件とターゲットの有無と、提示項目数が12の時の,ターゲット図形条件とターゲットの有無について、有効な交互作用があると分かった。それ以外には交互作用が見られなかった。
3つの項目提示数条件は,いずれの場合も,ターゲット「あり」の時に,図形の効果あった。ターゲットが「\」でターゲット「なし」の時と,ターゲットが「|」でターゲットが「あり」の時と「なし」の時も,提示項目数の効果あった。ターゲットが提示項目数12の時,ターゲットが「|」で提示項目数が6の時と12の時にも,ターゲットの有無の効果あった。

 さて、これらの結果を踏まえて、仮説が支持されたのか考察する。
 反応時間については、仮説に近かった部分と、仮説と異なっていた点があった。仮説通りだったのは、ターゲット図形が「|」の場合は、探索にかかる時間が、妨害図形が増加するに伴って増加したという点である。仮説の通り、本実験の中でもっとも時間がかかった条件は刺激数が12の時に「|」を探しだす場合であり、この場合の時間の長さは、刺激数6だった場合や、ターゲット図形が「\」だった場合と比較しても統計学上有意だったため、今回の条件の中でもっとも探索が困難になる場合だと捉えることができる。これは、ポップアウトしなかったために逐次的に探索しなければならなくて、情報判断が難しかったからだと考えられる。視覚的探索においては、特徴の有無が全図形に関して並立的に処理されれば、探索時間は変わらないとされる。したがって、大幅に探索時間ずれが生じたこの点において仮説は支持された。
ところが、仮説とは異なった点もあった。それは、ターゲット図形が「\」だった場合も、探索時間に有意差が出た点である。仮説では、妨害図形の「|」が増えても、目標図形「\」はポップアウトする図形であるため、並立的に処理することができ、探索時間は変わらないはずだった。しかし、実際には、刺激数が6と12の場合のエラー数は、1の場合よりも有意に多くなった。これはなぜだろうか。おそらくこれは、いくら並立的に処理できるとは言っても、複数の刺激がある場合は図形を見渡すまでに一瞬の間がかかってしまい、ポップアウトするまでにタイムラグがあるためではないだろうか。単一の図形しかない場合は、図形を認知し、判断すれば良いが、複数の図形の場合は、ポップアウトしてから判断する必要があるため、同一の速度にはならなかったのだろう。

 次に、エラー数について考察する。エラー数に関しても、仮説に似ていた部分と、違っていた部分があった。仮説通りだったのは、もっともエラー数が多かったのが、ターゲット図形が「|」であり、刺激数12と一番多く、刺激数「あり」だった時である。なぜこのような結果になったのかと言えば、大量の妨害図形「\」があると、特徴が薄くポップアウトしない図形である「|」は逐次的に探すしかなかったため、探索に時間がかかってしまったためだと解釈できる。このエラー数が有意多い点においては、仮説は支持された。
 しかし、仮説通りではなかった部分も数多くあった。
 まず、「\」の中から「|」を探す場合は,「|」の中から「\」を探す場合に比べて,エラーが起こりやすいという仮説があったが、これは全体的には支持されなかった。刺激数が12の場合に関して言えば、仮説通りなのだが、全体的な傾向にはなっていなかったのである。さらに、提示項目数が1と6、提示項目数1と12の間には有意差がなかったにも関わらず、6と12の間には有意差があった。それに加えて、ターゲット「なし」の場合に項目数6と12の間には差がないが、1の場合だけ有意にエラー数が多くなっていること、ターゲット図形が「\」でターゲット「なし」で提示項目数が1の場合、エラー数が有意に多いこと、ターゲット図形が「|」でターゲット「なし」の時の提示項目数によるエラー数が、1の場合だけ有意に多い点が、仮説と大きく違っている。
 なぜ、このような結果になったのだろうか。
 これらの予想外だった点を分析してみると、図形が1つだった時のエラー数が、問題になっていることに気がつく。ターゲット図形が「\」で図形が1つの場合は、ターゲット図形が「あり」でも「なし」でも、他の条件と比較すると、エラー数が有意に多い。また、ターゲット図形が「|」の場合は、図形が「なし」の時のエラー数が、他の「なし」の条件よりも有意に多い。この偏りが、他の結果の平均・分散に影響し検定結果を歪めているのである。では、刺激数1の時の結果がこのようになった理由はなんだろうか。それは、刺激数が1つの場合の視覚的探索と、複数の場合の視覚的探索は、種類が異なるためではなかろうか。そもそも本論の仮説は、図形の特徴と、ポップアウト、並立的な処理があるだろうという予測に基いていた。それによって、探索の非対称性が起きるという前提に基づいていたのだ。
そして、この仮説は提示項目数が6と12の場合においては、そこまで不自然ではない形で支持されている。もちろん、この点に関しても、有意にならなかった部分があるが、それは「今後は実験精度も改善をしなければならない」という、心理学実験によくある出来事だと言える範囲だ。その反対に、実験精度の問題とは言えないほど不自然なのが、提示項目数が1の時の結果であり、本実験の仮説の不実証は、ここに起因していると考えることができる。すなわち、提示項目数が1の時にエラー数が増えるのは、ある種の認知現象であり、たんなる偶然・失敗ではない可能性がある。
 そこで私は、ここで新たな仮説を提唱する。それは、ターゲット図形が1つの場合は、視覚的探索として一般に知られている現象は起きないのではないか、という仮説である。
なぜなら、ターゲット図形が1つの時というのは、単一の刺激を「判定する」という作業であって、複数の刺激の中から「探索」しているわけではなく、その意味では今回の実験でのポイントとっているポップアウトや並行的な処理と何も関係していない作業だ。
もちろん本実験は、ターゲット図形と妨害図形を識別するためには、単一の刺激特徴を観るだけで十分わかり、逐次的に行われる結合探索を必要としないことを確認した上で行われたが、妨害図形とターゲット図形を見分ける作業と、妨害図形の中からターゲット図形を探し求める作業は異質なのではないだろうか。つまり、提示項目数1の場合は、ただ単に一つの図形に対して、正確に反応できるか、という作業になっている可能性があるのだ。ではなぜ、ターゲット図形が「|」の時に図形が「あり」だった場合にのみエラー数が少なかったのかと言えば、提示項目数1の条件の中では「|」の図形が出てきたら、それを正しく判断するという作業は極めて単純なので、ミスが少なかったのだろう。対して、「|」の図形が出てこなかったことを判断する作業は難易度が上がるので、エラー数が増えたのだ。さらに、「\」を判断する条件では、「\」という非日常的な図形が見えた場合に「正しい」と捉えて1番のボタンを押すという作業は、意外に難易度が高い。だから、実験者は「\」が表示されたら「非日常的である」と感じて、「正しい図形が見つからなかった」ことを示す2番のボタンを押してしまう。そして、「|」の図形が見えた時には、「日常的である」と感じて、1番のボタンを押してしまう。すると、今回の実験においてはどちらにも誤答になるため、ターゲット図形が「\」の条件で、提示項目数1の場合はエラー数が増えたのではないだろうか。
したがって、視覚的探索の実験を行うならば、刺激数は最低で3つ程度用意するのが望ましいと考えられる。ターゲット図形が妨害図形に左右から挟まれて表示されるような形になっていてこそ、ポップアップは如実に起き、並行処理できる場合と、逐次処理を必要とする場合で、エラー数と反応時間の差が有意に開くことになるからだ。
 今回は、仮説が支持されなかったが、別の現象が起きている可能性が浮上した有意義な実験であった。条件別に実験者の反応が細かく違った事実は、視覚が対照的ではないという意味で言えば、広い意味で視覚の非対称性を裏付けたと捉えることもできよう。今後の課題は、提示項目数が1つの時の反応を検証することと、改めて、探索の非対称性に焦点をあてて、斜線と直線の判定を研究し直すことだと言えよう。


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